モンゴルの人々は自然の中で暮らしています。牧畜生活は家畜の健康の上に成り立っており、人間の都合だけでは生きていけないため、自然に対して非常に謙虚な姿勢を取らざるを得ません。自然災害が起きた際には、その猛威が過ぎ去るのをただひたすら耐えるしかないのです。人が自然に対してできることは、伺いを立てて許しを請い、そして感謝することだけなのです。
彼らは身の回りで起こるさまざまな事象は、目に見える自然界だけでなく、目に見えない世界、すなわち超自然界との関わりによって生じると考えています。超自然界には祖先の霊や森、山、土地の精霊が住むとされ、オンゴッドと呼ばれるこれらの霊や精霊は、人間の知恵を超えた多くを知り、ときに怒り、ときに憐れみ、ときに味方をすると信じられています。
モンゴルでは、こうした超自然的な存在に対して、ボーと呼ばれるシャーマンを通じて願いを伝えることができると信じられています。シャーマンは、目に見える世界と見えない世界の双方を自由に行き来できる特別な才能と技術を持つ人として、人々から恐れられ、尊敬されています。人間が勝手に振る舞い問題を起こしがちな「見える世界」を、「見えない世界」の知恵を借りて正し、両者に調和をもたらすことが彼らの役割なのです。
シャーマンは太鼓を叩いたり口寄せを奏でることで極度の集中状態に入り、自らの魂を見えない世界へ飛ばしてオンゴッドに伺いを立て、オンゴッドを自らの体に宿してその言葉を伝えることができます。たとえば、病気の原因を知りたい、失った家畜の居場所を知りたい、悪しきものが身に降りかからないようにしてほしい、かけられた呪いを解きたいなど、こうしたことはシャーマンでなければ成し得ないと信じられています。
「サムガルダイ」センターが主催する「マーナル」と呼ばれるシャーマンの最初の冬のイベントは、2026年1月17日と18日に開催されます。ここでは主に3つの儀式が行われます。ジャルガント川に捧げる「水の精霊への供物」、各ゲルで執り行われる「火の儀式」、そして参加者全員をひとつに結びつける「大火の儀式」です。風光明媚なジャルガント川は、氷点下50度でも凍らないことで知られています。「マーナル」にはモンゴル北部に暮らすダルハッド族のシャーマンたちが参加し、独自の伝統と文化に触れることができる貴重な機会となるでしょう。